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リストマーク 今月の一枚:『空間のデッサン Mimeyな親爺達

2006年9月9日(土)武蔵野芸能劇場(JR三鷹駅北口より徒歩1分/東京都三鷹市)にてマイム公演を行ないます。



リストマーク Pantomime.org のサイト更新歴
「今月の1枚」を更新。『空間のデッサン Mimeyな親爺達』チラシ画像を掲載。(2006.7.20)

雑文最近のひとりごと』を掲載。(2005.2.11〜26)


Mime / Pantomime関連情報を提供するWeb-site "Pantomime.org" を公開。(2000.3.4)

ちょと前のひとりごと  2005.2.11〜22・25

 
最近、『中国音楽』にはまっています。「女子十二楽坊」もしっかり毎日聴いて&見ています。いいですね。女子十二楽坊!(笑)
 もともと、幼少の頃より中国音楽には親しんでいたのですが、ここ20年程は「ヨーロッパ古楽」一辺倒でした。それが、昨年の『空間のデッサン vol.11』公演の自分のソロ作品『狩人と鹿』の劇中音楽に「平安雅楽」(明治選定譜による近代雅楽ではなく、平安時代の楽を復元演奏したもの)を選んだことも影響して
(劇中曲のほとんどが唐より伝来の、いわゆる唐楽でした)、「やっぱり中国音楽はイイナア」と興味がぶりかえした形です。もちろん、今でもヨーロッパの古楽は好きで、聴いて&弾いていますが...

 今、独学ですが、「簫(xiao/洞簫/中国尺八)」を練習しています。北簫
(長さ80cmぐらいの竹製の縦笛)の音は尺八とフルートをかけあわせた感じで、南簫(標準サイズは日本尺八とほぼ同じ長さ)の音は日本の尺八に似ています。6穴・8穴の2種ありますが、6穴のものはヨーロッパのルネサンス時代のフルートや、ケルト音楽でよく使われるウィッスル(縦笛)とほとんど同じ指使いで吹けます。日本の7穴の竜笛や篠笛などと共通する部分もあります。それらの笛も一応所有しているので、比較対照するのも楽しいです。なお、日本の尺八も中国より伝来した尺八を日本化したものです。まあ、日本の楽器で渡来およびその変化型でないものは、和琴(朝鮮・韓国の古楽器との関連性もしばしば指摘されます。日本へは朝鮮半島からも音楽と楽器が流入しています。伝来の時期は唐伝のものよりも先です。ちなみに、尺八と同種の縦笛が韓国にも存在します)と神楽笛ぐらいのようですが... おっと、大正琴もオリジナルでしたね。篠笛については諸説あるようです。

 それにつけても思うのですが、中国をはじめ、アジアの器楽音楽の歴史の古さ・長さ、深さには驚かされます。ヨーロッパでは、比較的早い時期から器楽音楽として発展して楽譜も古いものが残されているリュートのものがどんなにさかのぼっても15世紀ぐらいまで、歌曲は9世紀ぐらい
(もう少し前?)までで、それ以前のものはほとんど残っていないと思います。(古代ギリシャの残欠曲が幾つかありますが... )もちろん、中世ヨーロッパ(14世紀以前)においても器楽音楽は行われていたわけですが、特定の楽器のために記譜して残すということはあまり行われなかったように思います。
 ところが、ご存じのように、日本では飛鳥・奈良・平安時代(中国では隋・唐の時代)に海外(中国、韓国・朝鮮、ベトナムなど)より伝来した音楽がもとになっているものが現代でも『雅楽』として演奏されています。
(もっとも、現在の楽曲・演奏は平安時代に行われていたものとはかなり異なるというのが最新の説のようです。当然、その前の時代、飛鳥・奈良のものとも異なるわけです。古の響きを復元しようという動きも出て来ています)
 器楽の楽譜も古いものは、8〜12世紀に記されたものが現代に到るまで伝わっています。楽譜には今より2000年ぐらい前の中国の曲も含まれているとの話も聞いたことがあります。
(ちなみに近・現代の雅楽において楽器の稽古と楽曲の習得にたいへん重視される「唱歌」(旋律を擬声的に唱えるもの)は、古譜(鎌倉時代あたりまで?)には見あたらないらしく、唱歌は後世になって行われるようになった可能性もあるのではないでしょうか)

 中国では度重なる政権交代や内乱・紛争などにより、たとえば、唐の時代の音楽は遺影しか残されていないらしいとのことですが、ただ、「琴」
(古琴:孔子も愛奏した2000年以上の歴史を持つ古楽器。紀元前より形・音律・音色がほとんど変化していないそうで、文人の教養の筆頭にあげられたとか。 現在の日本でいう「琴・筝」は中国では「筝」で、「琴」は異なる楽器。筝のような柱は立てず、1)開放弦、2)弦を胴体に押さえつける、3)弦に触れてのハーモニックス、で弾く。奈良時代までに伝来し、愛奏されたが、平安時代に伝承が絶え、江戸時代に明清楽として中国より再伝来。わずかに伝承者がいる。「源氏物語」の光源氏も名手)は記譜法がかなり以前より(紀元2・3世紀ぐらい?)確立していたということから、古代(古くは「漢」の時代)の楽曲が残され、現在でも演奏されているそうですし、南音(南管とも言われる、福建省泉州を中心に行われる音楽)ほかの地方音楽や、仏教音楽などに古い時代の面影が残されているとのこと。また、古代の音楽・舞楽を復元しようという試みも徐々になされてきているようです。
 もっとも、中国では「秦・漢魏六朝・唐・宋・元・明・清」という時代があるわけですが、「明・清」あたりの時代の音楽は決して古楽復興という風ではなく、古曲としてごく普通に演奏されているようで、演奏の伝承・伝統が途絶えてはいないということです。この辺の事情は日本や韓国でも同様でしょう。これがヨーロッパでしたら、その時代のものは「ルネサンス/バロック」音楽ということで、皆から完璧に忘れ去られていた数百年の断絶期間があります。
(ヨーロッパでも、フォーク・ミュージック等に一部例外がありますが)

 ちなみに、「唐楽」
(正確には、唐の宴饗の俗楽「燕楽」。中国では、「雅楽」は儒教の祭礼楽・正楽のことをいう。日本では、燕楽を「雅楽」<のうちの唐楽>の名称で伝承)は日本に伝わった楽曲の楽譜が幾つかが現存しています。
 この間、『燕楽新説』、『唐楽古譜訳読』という中国で出版された二書を本屋で手に入れました。そこには唐および唐伝の譜である「敦煌曲譜(琵琶譜)」、「五弦琵琶譜」、「仁智要録(筝譜)」、「三五要録(琵琶譜)」等が、もとの記譜法と訳譜(五線譜)でもって、詳細な解説付で掲載されていました。曲によってはもとになった歌曲も並記されています。いずれも有名な譜ばかりで、雅楽に興味のある方はよくご存じだと思います。




 
さて、『Chinese lute』とヨーロッパなどでは称される中国の『琵琶』ですが、古代ペルシャの4コース(単弦または複弦の一組を1コースと言う)の撥弦楽器「バルバト」が西に渡って(アラビアやトルコの)「ウード」となり、「バルバト」が東に渡って「琵琶(曲頚4弦琵琶)」になったという説が現在では有力です。
 よくウードと琵琶は親子関係であるかのように解説されることがありますが、実際には、兄弟関係といったほうが正しいと思います。
 構造的には、古代ペルシャのバルバトは、中国や日本の琵琶と似た構造、つまり厚い板をはりあわせたものであったとの説があります。(また、「pipa/biwa」の名称は「barbat」の音から来ているとする説も目にすることがあります)

 一方、『ウード』ですが、アラビアの乾燥した気候のもとでは、良質な木材をふんだんに使用する楽器の製作はむずかしかったため、木を薄くスライスした寄木細工のリブ構造を発案、採用したとの説明を目にします。ヨーロッパの『リュート』
(ルネサンス時代には「楽器の女王」と称され、現在のピアノのような存在でしたが、バロック時代になって、チェンバロにその地位を譲り渡しました)もその構造をひきついだわけですが(ウードのヨーロッパ伝来は9世紀頃)、リュートはさらに響板を薄くして楽器の重量を軽くし、より繊細で残響音・エコーのかかった響きを得られるようにしたのではないか(特に、プレクトラム/ピックを使用しない、指頭奏法があらわれ始めた頃から?)との印象を個人的には抱いています。
 また、近・現代のウードはリュートとは異なり、フレットを使用しませんが、ウードはもとからフレットを採用しなかったのか、それとも途中から使用しなくなったのかについては諸説あるようですが、古代ギリシャ音楽の影響を濃厚に受けていたと言われる古代アラビア音楽の時代
(微分音程が盛んになる以前)には使用していた可能性もあるのではと内心密かに思っています。もっとも古代ギリシャも微分音程を多分に含んだ音階を使用していたそうなので、断定はできませんが... )それはさておき、フレットレスのウードの音には独特の魅力があります!

 ちなみに、隋・唐の時代の『琵琶』
(中国/朝鮮・韓国/日本)には古代ペルシャ起源の「曲頚4弦琵琶」のほかに、古代インド起源の「直頚5弦琵琶」(奈良の正倉院に残されているもの)、中国に固有の直頚琵琶など、様々なものが存在していました。
 現代中国でよく使用される琵琶は上記の2・3種をかけ合わせた折衷型で、唐の時代の絵画によく見られる琵琶とは形が異なります。響孔がない
(日本の琵琶は3孔。ウードの標準型も3孔! 偶然でしょうか... )のとフレットが多いことが特徴としてあげらます。また、大きく分けて2種類の琵琶が使用されており、一つは中国全土で一般的なもの、もう一つが唐楽の面影を残すと言われる南音の琵琶とのこと。一般に演奏されるものは女子十二楽坊のお嬢様方が弾かれているもので、テレビ番組でもよく目にしますが、なんとフレットが30もあります。指に義爪をつけて弾かれることが多いそうです。
 この琵琶の演奏がもの凄い(!)、TVとビデオでしか見たことはありませんが、奏法が多彩なこと、正直言って驚きを禁じ得ません。
(私的には、リュートやウードの音色・音楽が好きなのですが、中国琵琶は強いライバル意識をかきたてさせてくれる楽器です。笑)現代に繋がる中国の琵琶の伝統が1600年間かそれ以上(漢の時代には既に存在していたとか)あるわけですから、奏法の多岐にわたること、至極当然のことなのかもしれません。(古琴や笛子の奏法などにも、和楽器や西洋楽器の奏法から見て、カルチャーショックを与えてくれるものがけっこうあります。古琴がハーモニックスを多用するのを聴いた時は! こんなことを1000年以上(2000年以上かも...)も前からやっていたのか! ハーモニックス奏法は西洋楽器では近代になってから出て来たとされます)

 日本でも唐より琵琶
(楽琵琶)が伝来した当時、そして平安時代には様々な奏法が行われ、独奏楽器として大いにもてはやされたそうですが、その後、多くが失伝されたとのこと、もったいない話だと思います。なお、先に唐の時代も終わり頃になると、フレット(柱)の数が元来の4柱であったものから徐々に増え始め、演奏法もバチでの奏法と指弾きとが並存していたようですが、そうなるかならないかの頃に遣唐使が廃止されたようで、もう少し後の時代まで遣唐使の制度が続いていたらと思うと...
 日本の「楽琵琶」は唐伝の曲頚4弦琵琶そのままですが、この楽琵琶とそれを小型にした平家琵琶以外の日本の琵琶は「盲僧琵琶(荒神琵琶)」と称される、これまた平安時代頃に中国より伝来の、ペルシャ起源かインド起源かまだ決着がついていない(らしい...)別タイプのものの発展型とされます。(正確には、平安琵琶は「楽」と「盲僧」の折衷とされます)
 韓国・朝鮮の琵琶は曲頚4弦・直頚5弦の両種が李朝の末期まで使用されていたそうですが、形は唐時代のものに驚くほど似ています。12フレットまで拡張されているそうですが、晩唐・宋時代の中国の琵琶の特徴を引き継いだものなのか独自の発案によるものなのかは知りません。




 余談ですが、人気の映画『陰陽師』において、「楽琵琶」の演奏シーンが何度か出てきますが(かっこよかったですねぇ〜)、音色は明らかに楽琵琶のものではない(平安時代には未だ存在しなかった、戦国時代または江戸初期の頃に出現の薩摩琵琶か?)と感じていましたが、どうやら(明治時代に発明された)筑前琵琶を弾かれたもののようです。それはそれで、たいへん味わいのある音で素晴らしかったと思うのですが... 出自も時代も構造も演奏法も音楽も音色もぜんぜん異なる楽器です。音の方も楽琵琶を使ったなら(特に平安時代に使用されていたタイプのバチで弾けばなおさらのこと)、時代考証にもかなう、それはそれはとても切れのある雅びな美しい音色が奏でられたのではないかと思います。

 余談ついでにもうひとつ。映画「陰陽師」の登場人物のひとり、「源博雅」には同名の実在モデル
(在、10世紀)が存在します。半ば伝説的な人物で、管弦の名手として知られ、竜笛・琵琶・篳篥などに堪能だったそうです。なお、平安時代の貴族達は竜笛・琵琶・筝(琴も)をことのほか好んだそうで、篳篥は好まない人もいたとか。面白い話ですね。現代では雅楽というと、まず篳篥(や笙)の音を思い浮かべる人も多いかと思います。篳篥ですが、琵琶と同じく、「胡楽器」(中国から見て、西域の中央アジア・西アジアを「胡」と呼んだ)由来のもので、現在でも、イラン、中国、韓国などに親戚の楽器があります。
 博雅さんは竜笛譜なども編纂されています。その譜「新撰楽譜」が現在のところ、
(現存する中では)世界最古の笛譜とのことです。古代の中国、朝鮮半島、日本、ベトナム(林邑)等の楽曲が含まれています。その笛譜を解読演奏したCDも出ています。また、唐より伝来の琵琶曲9世紀に遣唐使の藤原貞敏さんが持ち帰ったもの、他)や、筝曲の解読演奏のCDも出ています。
一般にイメージする伝統邦楽との違いに驚くこと請け合いです。一聴の価値があると思います。そのような音楽がその昔、日本で演奏されていたのだと考えるとわくわくしますし、時代ものの題材を扱ったマイム作品の劇中曲としても合うのではないでしょうか。


 
 何だか非常にとりとめもない話で、マイム/パントマイムとは全く関係ない話になってしまいましたが、「ひとりごと」ということで、わざわざお付き合いくださった方、本当にありがとうございました!

 風邪が流行っているようです。どうぞ御自愛ください。
                         William Nakamura

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