●はじめに
筆者は92年の秋、オーストリアのヴィクトスベルグにおいて4週間に渡って行われたサジェストペディアによる初級イタリア語コース(約60時間)に参加した。講師はエバリナ・ガテバ博士で、ゲオルギ・ロザノフ博士の共同研究者である。外国語教授法の本などでは、ロザノフ博士がサジェストペディアの創始者として紹介されることが多いのだが、実践面において今日のサジェストペディアがあるのは、このガデバ博士の功績によるところが大であると言われている。
コース参加者は、地元のオーストリア人3名、スペイン人1名、そして日本とドイツから参加した日本人4名の計8名で、このうち言語教育に携わっている者は、日本語教師4名を含む6名である。
このコースは、純粋にイタリア語を学ぶことをその目的としている。筆者は日本語教育に携わる者であるが、今回のコースでは、できるだけ言語教師としての見方を抑えて学習者の立場に徹するよう努めた。というのは、サジェストペディアによる学習効果を最大限に引き出すためには、授業を分析的に見ようとする態度はかえって障害になると、コース参加のきっかけを作ってくれた紹介者よりアドバイスを受けていたからである。
私の目的も、最新のサジェストペディアの実際を体験し、サジェストペディアによって自分がどの程度までイタリア語ができるようになるのかを見ることにあった。
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●コースの概要
コースは大きく分けると、4つの部分からなる。それは、1)
レディネス調査およびプレ・テスト、2)
授業、3) 修了テスト、4) 演芸会およびパーティーである。
1. レディネス調査及びプレ・テスト
まず、本授業に入る前に、受講者は受講カードに住所や氏名などとともに、外国語の学習経験およびサジェストペディアによる学習経験について記入する。筆者は以前、サジェストペディアを利用した初級英会話のクラスを受けたことがある。
続いて、ペーパー・テストが行われる。
一枚の紙にイタリア語がダイアローグ形式で40行ぐらい印刷されており、それを前半部と後半部に分け、そのどちらかを英語またはドイツ語に訳すのである。私はイタリア語は全くのゼロであり、イタリア語と親戚関係にある他のヨーロッパ語もできなかったため、全くのお手上げ状態であった。
最後に、ガテバ博士は別室に待機。受講者は一人一人呼ばれて、博士から口頭によるインタビューを受けることになる。
このインタビュー・テストには二つの形式があった。一つは、机の上に裏返しにして置かれた数枚のカードの中から一枚を受講者に選ばせ、博士はそのカードの表に書かれている記号によって質問ノートのページを選んで開き、そこに書かれている質問を受講者にするというもの。もちろん、私には全く答えられない。果たして、このコースを終える頃には、自分はこれらの質問にすらすらと答えられるようになっているのであろうか?
不安と期待が入り混じる。
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