日本語教育に関するFAQ



Frequent Asked Question vol.3

Q: 「本を読む」や「ご飯を食べます」を「ホンノヨム」「ゴハンノタベマス」
  のようにやってしまう学習者がいます。原因と対策を教えて下さい。

A: よくあることですね。

■『ン』(撥音/はねる音)のいろいろ

「本を読む」を「ホンノヨム」または「ホノヨム」のように発音するのは、「本」
の「
」(撥音/はねる音)を適切に発音していないためです。
日本語の「
」(音素 /N/ )には幾つかの発音上の違い(異音)がありますが、
これをちゃんと理解している必要があります。

主なものを以下に記します。

1)
「散歩(さんぽ)」「本部(ほんぶ)」「運命(うんめい)」などの「ん」
  [ m ](両唇鼻音)

 
* あとに、[ p, b, m ] (両唇音)が来るとき

2)「見当(けんとう)」「電池(でんち)」「半月(はんつき)」
 「現代(げんだい)」「漢字(かんじ)」「案内(あんない)」などの「ン」
  [ n ](歯茎鼻音)

  *あとに、歯または歯茎音 [ t, d, ts,, dz, , n, r ] が来るとき

3)「こんにゃく」「はんにゃ」などの「ン」 「ニャ」の子音と同じになる
 (硬口蓋鼻音)

4)「観光(かんこう)」「言語(げんご)」「日本(にほん)が」など
 の「ン」 [] (軟口蓋鼻音)

  *あとに、[ k, g ] が来るとき

5) 「ペン」「本(ほん)」などの語末(単独に発音された時)および文末の「ン」
  [
N ] (口蓋垂鼻音:口蓋垂と奥舌を軽く接触させ、声を鼻に抜く)
  *この[ N ] のある言語は非常に限られている

6)「恋愛(れんあい)」「原因(げんいん)」「電話(でんわ)」などの「ン」で、
 その次に母音・半母音が来る 多くの場合、後続母音・半母音の鼻母音となる


さて、上記の (5) と(6) の「」がネイティブでない日本語話者の場合、(4) または
(2) で行われることがあり、母語の影響等により(2) が用いられる時、「本を」→
「ホンノ」・「ホノ」、「恋愛」→ 「レンナイ」・「レナイ」のようになるわけ
です。
この場合は、「
」が一拍を形成するものであることを意識させ、発音する時の
舌の位置を歯または歯茎にではなく、下顎につけたまま後続の母音を発音するよう
に試みさせるとうまくいくようです。また、両手で舌・歯・歯茎・口蓋を形作って
舌の位置と動きを説明するとか、口と舌の両方が動かせるパペット(私の場合は
狼のダグラスくん)で説明するとか、あるいは音声器官の図を用いる等の方法も
有効です。両唇音の[ m ]であれば、教師の唇の動きを見てもらうのがよいでしょう。


                           98.06.10 NAKAMURA



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