KYOOKAKEN NEWSLETTER Voice No.1 April 1998



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日・韓で違う「おいしさ」の表現 ―

藤田 美里(日本語教師)


 仕事柄、韓国人と接する機会が多くなって、3年前から細々と韓国語を勉強しています。と言っても、このごろは勉強よりも、もっぱら韓国の食文化のすばらしさに心をうばわれています。
 韓国料理と言えば、キムチに代表されるように過激な辛さが特長ですが、韓国語の表現も又、少々過激です。そんな例を一つご紹介します。

 ある日、NHKのラジオの韓国語講座を聞いていました。その日のテーマは「韓国料理屋で」という、まさに私にうってつけのテーマでした。
 登場人物2人が韓国料理を食べに行き、料理を注文したり、値段をたずねたりという平和な会話が続いて、「これは使える!」とメモを取りながら聞いていたら、突然1人が「2人で食べていて、1人が死んでもわからない!」(トゥーリ モクダガ ハナガ チョゴド モルゲッソヨ!)と叫んで会話が終わったのでした。あまりの唐突さに驚いた私でしたが、その後の解説によると、「キムチの味があまりにおいしくて、そのおいしさに夢中になっていたので、その時、となりで食べている人が死んでも気がつかない」という意味だということでした。心境としては理解できないでもありませんが、もし、そんなことが本当にあったら、「なんてひどい奴!」と、一生言われ続けるような気がしませんか?(考えすぎかしら?)

 後日、日本語堪能な韓国人の友人にこの事を言ったら、「日本人がおいしいものを食べて、『ほっぺたが落ちる』というのと同じですよ」と教えてくれました。おいしいことのほめ言葉としてよく使う表現だそうです。その友人は友人で、初めて「ほっぺたが落ちる」という日本語を聞いた時、スプラッタムービーに出てくるような具体的な場面を想像して、ギョッとしたそうです。(日本語も案外、カゲキ!)
 そう言われてみると、「なんで、おいしいものを食べると、ほっぺたが落ちるなんていうんだろう」という素朴な疑問がわきあがって、一人悩んでしまう今日このごろです。
(今度、NHKの「日本人の質問」に出してみようかしら)

 ちなみに韓国料理屋に行ったら、この「トゥーリ . . . 」を言ってみてください。お店の人は大喜びで、あわよくば、キムチ一皿サービスしてくれるかもしれませんよ。




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