― 日本語教科研究会50回記念の集い
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| 日本語教科研究会では、定例研究会の開催50回を記念し、96年1月20日(土)に『日本語教科研究会50回記念の集い』を開催いたしました。第一部では教科研の活動について中村が簡単にご紹介し、第二部では講師としてお招きした文教大学文学部教授の遠藤織枝氏に講演していただきました。演題は、「日本語教育と不快表現」。遠藤氏の講演概要について教科研メンバーの堀田志津子氏に報告していただきます。 |
『日本語教育と不快表現』

1996年1月20日、午後2時から4時までの間、遠藤織枝氏は「日本語教育と不快表現」について、1)日本語学習者の体験から、2)日本語の教科書から、3)辞書から、の3つの柱に分けて話された。
1. 日本語学習者の体験から
(1) 日本語のレベルが低いとの理由で子供扱いされる。
(2) 自分の能力、目標を正確に認めてもらえない。教師の思い込みを押しつける。
(3) 「日本人になる」こと―態度、姿勢、待遇の仕方を日本人のようにすること―
を求められる。
(4) まちがえたとき、笑ったりばかにしたりする。
(5) 「わかる?」「わかりますか?」(わからないだろうの意で)と言われる。
(6) 親しいと思っていた人から「ガイジン」「ワレワレニホンジンハ」といわれると、
のりこえられない壁が突如あらわれたと絶望的になる。
以上、遠藤氏の参考プリントより
日本人らしいとは何なのか、日本文化とは何か、日本語と日本文化を習うことは同じなのかを考えることが大切だと話されたことが特に印象に残った。
2. 日本語の教科書から
(1) 「主人」「家内」
主従関係を表すものは今の日本にはふさわしくない。
最近では「夫」の名称を用いる人が多くなってきているはずである。
(2) 家内に掃除をさせます。
「させる」と使役が使われている。これは上位者が下位者へ何かをやらせることである。
自分の行為に対して言う場合にはいいかもしれないが...
(3) 家内に帽子を買ってやりました。
(4) 日本へ家内を連れてきます。
配偶者を差別的に扱っている。
(5) 母は台所で料理を作っています。
母(女性)はいつも料理ばかり作っている存在か?
何故 Career woman が出てこないのか?
(6)も同様である。
(6) 加藤さんの奥さんは料理が上手で、わたしたちにいろいろな日本料理を
作ってくれました。
(7) おねえさんはきれいなかたですね。おねえさんはもう結婚しているのですか。
/いいえ。姉はまだ独身です。
何故、女性の容姿のことばかり話題にするのか?女性が既婚か未婚かにこだわるのか?
お姉さんは一体何ができて何が好きなのか、そういう話題を何故出さないのか?
以上、参考プリントより
(1) 「主人」「家内」は国際化できない。遠藤氏は、ギリシャの学生から『「お連れ合い」は「愛」がある言葉ですね』と言われたことが印象に残っていると言われた。
(2) 「させます」は今の時代、犬にしか使えないのではないかと言われた。
その他には、日本語の教科書には専業主婦しか出てこない、明らかな女性差別があるなどの指摘があった。
3. 辞書から
・国語辞典から、

(1) 女だてらに大酒を飲む(だてらに)(岩波国語4)
(2) 女にでれでれする(でれでれする)(広辞苑4)
(3) 二人の娘を片付ける(片付ける)(集英社)
(4) 〔外人〕「外国人」の圧縮表現。「―教師」(新明解)
外国人 ←→ 邦人 以前は主として欧米人を指した。(集英社)
外国人。特に欧米人をいう。(大辞泉)
以上、参考プリントより
(1) 「だてら」はもう死語なのではないか。
(4) 「外人」は外国人が一番いやがる言葉であると指摘された。
4. 基本語用例辞典(文化庁)から
(1) あいにく主人が留守ですからすぐお返事ができません(あいにく)
(2) 女の人は一般におしゃれをする(おしゃれ)
おしゃれをするかどうかは個人・個性の問題ではないか?
(3) このごろの若い女の人は、長いまっすぐなかみの毛(け)を
わざと縮れさせている(縮れる)
女性の髪型について独善的な価値判断をしている。
(4) 女性はいつも化粧の道具をはなさい(道具)
(5) 女性は感情に支配されることが多い(支配)
(6) 女の人は年を隠したがる(隠す)
(7) あの女の人は年を三つぐらいごまかしている(ごまかす)
もはやここまでくると、悪意さえ感じられる。これらの用例を作った人達は
女性に対して何か恨みでもあるのか?
(8) 都合が悪くて行かれませんから、私のかわりに妻をやります(やる)
(9) ここでは日本人と組まないと事業ができないと聞いたので、組む相手を
さがしましたが、なかなかいい相手が見つかりませんでした(組む)
(10) 日本語を半年間でマスターするなどという考え方はこっけいです(こっけい)
(11) 日本語は日本でだけでしか使われない言葉です(しか)
(12) 外国人には茶室のしぶみはわかりにくいでしょう(しぶみ)
そう一概に決めつけられるか?
以上、参考プリントより
特に(3) については女性に対する敵意まで感じられるということで、会場内が爆笑の渦に包まれてしまった。
遠藤氏は、「変だ」と思ったことはどんどん出版社に言っていくことが必要だと話された。
質疑応答も活発に行われ、40名の参加者はそれぞれ満足していたようだった。その後の座談会にも遠藤氏を含め、約20名が出席した。
# 当日とったノートをもとに中村が一部加筆いたしました。(緑字部分)
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